2000年代初頭、開設からわずか数ヵ月で1日20万ものアクセスを集め、インターネット文化にブームを巻き起こしたテキストサイト「侍魂(さむらいだましい)」。
2025年夏、サイトがあったホームページサービスのサービス終了に伴い、ロリポップ!レンタルサーバーに引っ越しされました。
その経緯を振り返りながら、ロリポップの使い心地について、管理人(運営者)の健さんにお話をうかがいました。
利用プラン:ハイスピードプラン
利用ケース:個人サイト・テキストサイト

「侍魂」とは?
インターネットが普及し始めた頃、個人ホームページに文章を綴る時代がありました。文章が綴られたホームページはテキストサイトと呼ばれ、今のブログやSNSの原型とも言える存在です。
当時は誰もがインターネットをしているわけではなく、PCを持っていない世帯もあるなど、利用者まだまだ少数。そんな中、ネット人口が拡大し始めた2001年に誕生したのがテキストサイト「侍魂」です。
「侍魂」が人気を博した2000年代初頭は「どんな人が運営しているんだろう」と想像する時代。現在も、本名やお顔などは非公開になっているため、管理人の健さんはベールに包まれた存在です。
「私、結構しゃべるんです」と、今回のインタビューがスタートしました。

ー ホームページサービスの終了で「侍魂がなくなってしまう」と、ネット上で騒がれていましたね。
健さん
終了の知らせは1年前くらいからあったんですが、その時点では誰も残した方がいいと騒いでいなかったんですよね。終了直前になって「もったいない」とか言われるようになってきて。ー 「侍魂」は20年以上 更新が止まっていましたが、時を経て話題になっていることをどう見ていましたか。
健さん
単純にうれしかったです。X(旧Twitter)も復活させたんですけど、だんだんと気づかれてフォローされていく感じが、当時の「侍魂」が世にさらされていく瞬間に似ていて、懐かしく思いましたね。ー 「侍魂」が世に知られていったのは、どう実感されたのですか。
健さん
当時テキストサイトのランキングサイトに登録して、徐々に順位を上げていく過程を楽しんでいたんですが、ある時からホームページに置いていたカウンター(CGI)が一気に回りだして、そのうち正常にカウントできなくなって壊れてしまったんですよね。「なにか大変なことが起こっているな」と思ったのを覚えています。そしたら今度は1日500通くらいメールが届くようになって「こんなにおもしろいの初めて見ました」とか「会社でゲラゲラ笑っています」「学校で見ています」とか。
当時はインターネットが公共の空間ではなく、プライベートな空間で楽しんでいたから、夜になるとメールがぶわーっと届くんです。
ー どういう人が運営しているのか、見えないものでしたよね。
健さん
「運営しているのはどんな人なんだろう」みたいに妄想で楽しんでいましたね。「侍魂」も、いろんな媒体で紹介していただいたんですけど、取材を受けた写真が掲載されたりすると「こんな人だったのか」みたいなメールが届くという感じでした。たぶん一般人がネットでいきなり有名人になってしまった初めての事例だったんじゃないかな。当時はバズるっていう言葉はなかったけど、日本で最初のバズは私だったかもしれない(笑)
ちょっとアンダーグラウンドっぽさが残っていた当時と今のインターネットと状況がまったく違うので、このインタビュー記事も、あの空気がどこまで伝わるかわからないですよね。もしかすると伝わらないんじゃないかな。

俺の黒歴史が保存されてしまう
ー 健さんにとって「侍魂」とは、どんな存在ですか。
健さん
一番は思い出ですね。黒歴史と言えば黒歴史です。勢いのままおふざけで書いていたけど、情熱を持って書いてはいたので、若い時の青春の足跡みたいなところがあります。歳を重ねて振り返ると、消したくなりますけど(笑)ー 健さんも消したくなるものなんですね。
健さん
前に使っていたサービスの終了を知った時は、積極的に残そうとは思っていなかったんですよね。だから最初、ロリポップからの声がけは嬉しかったんですけど、反面「これがまた残っていくのか」と「俺の黒歴史が保存されてしまうのか」という気持ちでした(笑)子どもも情報を取っていく時代になっているので、どこかで「侍魂」に気がつく可能性がある心配も含めてですね。
ー なんと、ご家族は知らないんですね…?
健さん
子どもも妻も知らないです。妻は「昔なにかやってたんだろう」くらいの感じだと思います。当時アフィリエイトがあれば、もっと続けていたかも

ー X(旧Twitter)で明かされていますが、お父様の会社を継がれたんですよね。
健さん
そう、もともと継ぐ予定だったんですけど親の会社をそのまま継ぐのは嫌で、その前に自分でなにかやってみたかったところから「侍魂」が生まれたんです。最初はホームページを作るアルバイトをしていたんですけど、その中でテキストサイトにはまっていきました。「社会に出る前になにか挑戦したい」と模索する中で「侍魂」は運良くみなさんに楽しんでもらえて、とてもおもしろい体験をさせてもらいました。
ただ、当時は今みたいにネットで稼ぐ手段がなかったんですよね。私も大学生でしたから、企業が大学生にお金を払う仕組みもなくて。バナー広告をホームページに貼って、1クリックいくらというのはあったんですけど、投げ銭感覚でクリックされて1ヶ月で50万円とかになってしまうので、費用対効果がとれないということで審査に落ちるんです。
ー 今はYouTuberやインフルエンサーと呼ばれる人がいたり、変わりましたよね。
健さん
ブログの時代になったらアフィリエイト広告ができて、SNSが普及したらYouTubeで稼いでいる人が出てきて時代が変わりましたよね。あの当時は個人サイトがお金を稼ぐ仕組みがなかったので、当時アフィリエイトがあれば、もっと続けていたかもしれません。そしたら、ライターの方向にいってたかもしれないですね。
今YouTubeとかSNSでたくさん稼いでいる人は「ネットで金を稼ぐのは悪だ」と言われた時代と戦ってきた我々に少し感謝してほしい(笑)
ホームページサービスから「ロリポップ!」へ
ー 「侍魂」が誕生した頃のインターネット環境も、今とはかなり違いましたよね。
健さん
そもそも夜11時からしかネットできないし(※当時主流だった、特定の時間帯のみ定額で使えるサービス)、旅先で更新するのもカード型のPHSをPCに差し込むの、わかります?移動しながらだと通信が遅くなるの。当時は個人ホームページ付きのプロバイダーが多かったので、プロバイダーについているものをそのまま使っていました。広告が出ないのが良くて、当時の選択としては最高でした。
背景色やアイコン、画像とかで自分の世界観を表現する場所だったから、当時のテキストサイトの管理人からすると死活問題なんですよね。広告が出ると世界観が壊れると。
ー 今のようにWordPressもなかった中で、ホームページを作るのも大変だったのでは?
健さん
調べないといけないことがたくさんあって、「ホームページの作り方」みたいな本を1冊買う必要があったんです。プロバイダーについてる個人ホームページだと、独自ドメインが設定できなくて「http://www.プロバイダー名.or.jp/hp/サイト名」みたいなURLになるんですけど、それでも長いURLを打ち込んでホームページを見にいっていましたからね。

健さんにたずねる「ロリポップ!」の使い心地
ー 当時と比べて、今お使いいただいているロリポップの環境はいかがですか。
健さん
昔に比べたら導入が簡単になっていると思いました。視覚化されているので、あらゆるものがわかりやすいです。ただ「侍魂」が誕生したのは25年前なので、その頃と比べて褒めてるのかどうなのか(笑)クラシックカーからAT車に乗り換えたくらい違います。
ー 移行はスムーズにできましたか。
健さん
サイトの公開まで迷わずにいけたのでよかったです。最初うまく表示できなくて昔のCGIのコードとか削除しないといけなかったんですけど、箇所が分からずヒヤヒヤしながらやりました。ー 自動バックアップがあるプランなので、削除しても戻せるんです(PR)
健さん
そうなんですね。黒背景も「侍魂」のこだわりのひとつなので、レンタルサーバーだとそのまま残せて良かったです。
ー 「ロリポップ!」を検討中の方に、おすすめポイントはありますか。
健さん
ロリポップはずっと知っていて「コストパフォーマンスに優れているな」と思っていました。サイトを続けるには費用が重要になってくるので、無理せず続けられる環境だと思います。逆に、売りポイントはどこなんですか?
ー まさに料金の安さと速さですね。
健さん
たしかに。実は仕事関係のページのひとつで「ロリポップ!」を使ってるんですけど、サイトの表示が速くてスムーズですね。これからの「侍魂」
ー 「侍魂」は今後更新されるのでしょうか。
健さん
今25年前に書いた「侍魂」を見返すと、文章は勢いだけで誤字脱字がひどいわ、恥ずかしくてしょうがないので、時間があれば昔書いたやつを直したい気持ちはあります。ただ昔の「侍魂」は文化遺産みたいな扱いになっちゃったので、そこは変えずに新しくロリポップでWordPressを導入したいと思っています。昔のテキストを今でも読める形にしたり、Xに投稿したネタのフォントを変えたり赤文字にしたりして再掲載できたらいいなと考えてはいるんですが、忙しくて時間が取れない(笑)
ー WordPressにしたらブログみたいに更新しやすくなりますよ。
健さん
その際はぜひ相談させてください。「侍魂」をスマホから見た時に、レスポンシブデザインじゃなくて見るの大変だなと思いました。読むに読めないですよ(笑)
身の丈にあった生活の中で「侍魂」というスタイルがあっている
ー サイト以外で考えられている展開はありますか。
健さん
AIが出てきて簡単に文章が作れるようになってきた今、誰がなにを言うかが重要になっていると思うんです。改めて「自分のポジションはなんだろう」と考えると、「侍魂」で若い時にあれだけくだらないことを書いてきたので「健さんならしょうがない」って、中年のおっさんが誰にも目くじらを立てられずに、バカなネタや下ネタが言えるポジションが私の立ち位置かなと(笑)身の丈にあった生活の中で「侍魂」というスタイルで発信を続けていければと思っています。
ー 今回は「侍魂」存続のお手伝いができてよかったです。
健さん
昔はおもしろいなと思うことに気軽に乗っていけた自分がいたんですけど、今はちょっと躊躇してしまうんですよね。そんな中で「侍魂」の引越しの話があって、フェードアウトでもいいと思っていた中で周りが動いてくれたので話に乗ってもいいかなと。
みなさんがおもしろがってくれるなら、私もまたがんばりたいです。
次回は、ホームページサービスからロリポップへの引っ越しを導いたヨッピーさんをお迎えして、移設の裏側をうかがいます!
取材:Hayashida・Watanabe
文章:Watanabe
撮影:Sumijun



