事例紹介

「偏愛」をかたちに。コーディング未経験で、AIエージェントと「ごま油図鑑」を公開するまで。

国内のごま油メーカー41社を収録した「ごま油図鑑」。金額帯や色味、都道府県から絞り込めるほか、メーカーを地図から探すこともできます。キャッチコピーは「知れば知るほど深い。知れば知るほど好きになる。」です。

そんなごま油愛の詰まったWebサイトを作ったのは、まちづくりやコミュニティづくりを手がける株式会社tome代表の五月女郁弥(そうとめふみや)さん。お仕事のかたわら、3年ほど前から「ごま油部」としても活動してきました。部員は「ほぼ僕一人」です。

意外なのは、五月女さんがデザインやコーディングを学んだ経験がないこと。ターミナルを開いたのも、このサイトを作ったときが初めてでした。

今回は、そんな五月女さんに、ごま油図鑑をつくったきっかけや、AIエージェントのClaude Codeを使った制作の過程、そして「ロリポップ!デプロイナウ」でサイトを公開するまでについてお話を伺いました。

「ごま油図鑑」のトップページ。国内のごま油メーカーを、メーカー別・風味・色味・野菜からの逆引きで探せる

好きを語りたい。長年の夢「ごま油図鑑」の制作

ー まずは今回公開された「ごま油図鑑」について伺いたいのですが、そもそも「ごま油部」というのはどのような活動をされているんでしょうか。

五月女さん:もともとごま油が好きで、前職にいるときに「SOSOGE FES」というイベントをやったのが始まりでした。ごま油メーカーさんからお金をもらっているわけではなく、仕事というより趣味やサークル活動のような気持ちで、みんなでごま油の魅力を楽しみたいという思いでスタートしました。

卓上に並んだ全国のごま油。瓶の形もラベルの色もさまざまで、手書きの「ごま油部」の看板が置かれている

ー どれくらいの人数で活動されているんですか?

五月女さん:メインで動いているのはほぼ僕一人です。あんまり部員が集まっていなくて。でも、ごま油が嫌いな人ってあんまりいないんですよ。みんな好きなんです(笑)。その好きを語り合える時間が作れるといいなと思って活動しています。

ー ほぼお一人で活動されていたとは驚きです。サイトに掲載されている41社のごま油のデータは、どのように集められたのですか。

五月女さん:調べ物に関しては、3年前ぐらいに自力で調べていたんです。もともとスプレッドシートに全部まとめていたものを、そのままAIに投げた感じです。

「ごま油図鑑」の全商品ページ。金額帯・色味・都道府県で絞り込める

公開されている「ごま油図鑑」。金額帯・色味・都道府県で絞り込みができる。

ー スプレッドシートに眠っていたデータが、ついに形になったんですね!

五月女さん:そうなんです。集めたデータで図鑑をずっと作りたいなと思っていたんですけど、なかなか形にできなくて。ノーコードツールなどで、地図上に表示したページを公開するようなことはやっていたのですが、もっと見やすくできないかな、ごま油の魅力がもっと伝わるようにできないかな、と考えていたところ、今回念願が叶って公開することができました。

AIと一緒なら、うまくいくかも

ー 最初の制作はご自身の会社のホームページだったと伺いました。

五月女さん:自分の会社のホームページはWordPressで作っていたんですけれども、改修したいなという気持ちもずっとあったんです。ちょうどClaude CodeとかClaude Designが出てきて、ノウハウや作り方が広まり始めた時期だったので、自分でも作ってみたいなと思いました。

ー まずは自社のサイトで、新しいツールやAIを使った制作を試してみたと。

五月女さん:そうです。他の人が作ったWebサイトも参考にしながら、自分はどういうデザインが好きかをAIと壁打ちして作っていきました。自分の会社のホームページのリニューアルができたことで、これはごま油図鑑もうまくいくんじゃないかなっていう確信のようなものが生まれ、その勢いで制作に入っていきました。

株式会社tomeの公式サイト。「私の小さな公共をデザインする。」というコピーと、ドーナツをモチーフにした円形のデザインが並ぶ

「ターミナルを使うんだ、ということに一番驚きました」

ー ここからは具体的な制作の流れについて伺わせてください。五月女さんは、これまでにデザインやプログラミングを学ばれた経験はあったのでしょうか。

五月女さん:ないです。

ー まったくの未経験だったんですね。デザインやコードの知識がない状態からAIとサイトを作っていく中で、スムーズにいかない場面もありましたか。

五月女さん:最初は全く思う通りのものができませんでした。自社サイトのモチーフの形がドーナツをイメージしているのですが、思ったような形に出力されなかったり。トップ画面の雰囲気もなかなかうまく出せなかったので、そのあたりはだいぶ苦戦はしました。

いろいろなWebサイトを参考に見て、自分がどういうデザインが好きかを把握しながらAIと壁打ちして、作りたい方向性を決めていったような形です。

ー サイトの形ができて、いざ公開しようとなったときのプロセスはいかがでしたか。

五月女さん:コマンドを1行入れるだけで公開できるとは分かったのですが、その先が分からなくて。そもそも、その1行を入れる先がどこなのかが分からなかったんです。MacBookで作っているんですが、「ターミナルを使うんだ」ということに一番驚きました。使うタイミングがなかったので、人生で初めて使ったんです。

ー あの黒い画面を触る機会は、エンジニアでないとなかなかないですよね。

五月女さん:Claudeが「お手元にこれで入れて」と言ってきたときに、僕がClaudeに「お手元ってどこ?」と聞き返したんです。そうしたら「Macのターミナルのことだよ」と教えてくれて、「そういうことなんだ」と納得して初めて使い方を知りました。いい意味で、手順をひとつずつ確認しながら作れたのが良かったです。僕でもできたので、間違いなくおすすめはできるかなと思っています。

まずは低いハードルから越えてみる。公開先にデプロイナウを選んだ理由

ー 作成したサイトを公開する手段として、デプロイナウを選んでいただいた理由を教えてください。

五月女さん:たまたまXで広告だったかな?流れてきて、ローンチしたばっかりだったということもあって知りました。「デプロイ」という言葉自体を知ったのも最近だったのですが、コマンド1行を入れるだけで公開できるという手軽さにひかれました。他にもサイトを公開できる手段としてはVercelやGitHub Pagesなどがありますが、技術的なところでハードルを感じて、公開までは至れずにいたんです。

ー 他のプラットフォームではなく、デプロイナウに踏み切れたポイントはどこでしたか。

五月女さん:日本語だったのは大きかったかなと思います。あとは、もともとドメインをムームードメインで取得して、メールサーバーはロリポップを使っていたので、ロリポップというブランドが身近だったというのもありますね。

ローンチされて間もなかったので、投稿自体はそんなに多くはなかったんですけど、Xで「簡単にできた」という声もあって、公開までのハードルが低そうだなと思えました。まずは自分のホームページを公開するという、一番低いハードルを越えられたのが良かったです。

面白いことを面白がる。楽しいことから、仕事になっていく

ー 五月女さんの普段のお仕事についても伺いたいのですが、現在はどのような会社を運営されているのでしょうか。

五月女さん:株式会社tomeという会社を独立して立ち上げて、いま3年目になります。もともとはまちづくりや再開発をやっている会社に7年勤めていて、そこから独立した形です。

ー 前職からまちづくりの分野に関わられていたのですね。現在はどのような事業を中心にされているのですか。

五月女さん:仕事としてはまちづくりとコミュニティづくりの間ぐらいの意識でやっています。完全なハードのまちづくりというより、ソフトのまちづくりというか。高輪ゲートウェイ北口の施設や、河川敷の活用など、イベント企画や運営に関わっています。

ー お仕事もお忙しい中で、「ごま油部」のような個人的な活動も続けるモチベーションはどこにありますか。

五月女さん:仕事もですけど、やっぱり「楽しい」が根底にあって、その気持ちはとても大事にしています。

今、地元でやっている仕事も、3年くらい通いっぱなしだったところに、今年は少しお金をいただいたりするようになって。お金は最終的に後からついてくるから、まずは楽しんでやってみるような気持ちでいます。

ごま油部もそうですけど、面白いものを面白がっているうちに仕事につながったりすることも多いので、そういうところを意識していろいろな活動しているのかもしれません。

「SOSOGE FES」の出店の様子。5人のスタッフがそれぞれごま油の瓶やガイドブックを手に持って並んでいる

これから作りたいもの

ー 今回ごま油図鑑を公開されましたが、今後作ってみたいものはありますか?

五月女さん:ごま油図鑑でいうと、次はもっと写真を入れていこうかなと思っています。そうするとCMSっぽいものが必要になってくるかなと思うので、接続方法とかをもう少しAIとも相談しながら作っていくような感じになるのかなと。

あとはWeb以外だと、3Dプリンタを使って自社のキャラクターをフィギュアにしたいという野望もあったりします。

ー 本当に多才です・・・!最後に、これからAIを使って何かを作り、公開してみたいと考えている方へ一言メッセージをお願いします。

五月女さん:自分が作ったものを公開するのは、SNSに投稿することとはまた違うことだったりするので、公開する楽しさみたいなものは、今の時代は非常にやりやすくなったんじゃないかなと思っています。

とにかく一番最初のステップとしてハードルが低くて、やりやすいサービスを使うのがいいんじゃないかなと思うので、今回本当にこのサービスに出会って良かったなと思っています。

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